卒研が進まない

僕の所属する研究室は、卒業論文は課されない。
その代わりに、卒業研究発表会が26日にある。
内容は、数学に関わるテーマならなんでもよい。

卒業研究というのは、なにか自分のアイデアを盛り込んだ独創的なものをするものだと思っていた。
しかし、よくよく考えると、数学には自分のアイデアは盛り込めない。
理論が完成しているから、それに対する解釈なんてものはないのだ。
未解決問題を解ければカッコいいかもしれないけれども、そんな題材はほとんど転がっていない。

当初、QRコードをC言語で作成して、それに対してなんらかの数値実験をすれば、形になるだろうと思った。
しかし、それは工学部のやることだと思った。
僕の担当教授は、ガチガチの数学畑出身だから、実験をしたって全く喜ばれないだろう。
むしろ、シンプルで美しい定理の証明を一つ挙げたほうが、ずっと喜ばれる。


とはいっても、もう12月から符号理論の勉強を独学で準備してきたので、いまさらQRコードから離れるわけにもいかない。

うちの研究室は情報理論。似ているようで、符号理論とは違う。
情報理論は、数学的手法として、確率・統計を基にしている。
それにたいして、符号理論は代数学だ。
かつて、数学の女王にして、でくの棒といわれた代数学は、符号理論によって始めて世の中の役に立ったのだった。

つまり、QRコードを発表しようとすると、研究室のメンバーに理解してもらうためには、代数学の基礎から解説しなければならない。
しかし、その予備知識の分量がかなりあるので、時間内にはとても発表できる気がしない。
とはいえ、途中を省くことはできない。

さあ、どうしようか・・・。